家庭のまつり

神棚のまつり

神棚は、家庭や会社の繁栄と安全を祈る精神的中心となる神聖な場所です。その場所は 最も清浄であり、明るく静かな高い所が良いとされており、おまいりしやすい場所でなくてはなりません。

家庭であれば家族が一日の中で主に集まる部屋に、会社であれば主となる部屋が望ましい所と思われます。一般的には、部屋の上部に掛けるか、棚を設けますが、壁に釘が打てない場合は、書棚など家具の上に台を設け、その上に置いても 構いません。

また神棚の下は、頻繁に人が通る所を避け、真上(階上)は廊下やトイレにならないようにしましょう。ただし、アパート やマンションの場合は、一戸が独立した家屋と考えて下さい。それでも上の階が気になる時は、神棚の上に「雲」「天」「空」などと墨書して貼ることもあります。

神棚をまつる方角は、神棚からみて南向きか東向き、あるいは東南向きが最も良いとされています。これは、お鎮まり戴いた神さまに、一日が始まる清々しい朝日や、さんさんと降り注ぐ日中の太陽など、万物を育てる「陽の光」が充分にあたるようにするためです。

しかし適当な場所が無い場合は方角にこだわらず、その部屋の静かな高い所におまつりすることが大切です。

神棚のお供物について

神棚には、その家や会社・工場などをお護り下さる神札をおまつりしているのですから、毎朝欠かさず心をこめて、一日の平安をお祈りしましょう。

毎朝、家では食事の前に、会社に於いては仕事の前に手を洗い、口をすすいで身も心も清め、まずは お供物(神饌)を整えます。神棚には少なくとも、米(生米・洗米・ご飯)・御神酒・塩・水の四品をお供えし、榊立ての水を取り替え、神灯(ローソク・灯籠) などがある場合は、それを灯しておまいりします。お正月や毎月一日・十五日、家族や会社の記念日などには、この他に鏡餅・魚・海菜(昆布など)・野菜・果物・菓子などもお供えすると良いでしょう。

神饌はおさがりとして家庭や職場で頂きます。また、季節の初物や到来物なども、一度お供えしてから頂くと良いでしょう。

  • お札の納め方

    神饌(米・酒・塩・水を折敷に載せた例)

  • お札の納め方

    神饌(米・酒・塩・水をお供えした例)

お札の納め方

神札は、神棚によって納め方が違います。

お札の納め方
神棚の扉が三つ以上の場合
中央に神宮大麻(天照皇大神宮)、向かって右に氏神さま、 左にその他の崇敬する神社の神札を納めます。
神棚の扉が一つの場合
一番手前に神宮大麻、以下氏神さま、崇敬する神社の順に重ねて奥へ納めます。

※神宮大麻や氏神さま、崇敬する神社の他に旅行先などで神社 におまいりした際に受けた様々な神社の神札も併せておまつりして下さい。また厄祓や初宮詣でなどの御祈祷(御祈願) で神社から戴いた御祈祷札なども神棚に粗末にならないようおまつりします。

初めて神棚をおまつりする場合は、氏神さまの神社に依頼して、神棚の清めのお祓いと今後の末永いご加護を祈願するおまつりをして戴きましょう。

また神札は一年に一度、正月を迎える前に新しく取り替えます。これは一年間ご加護を戴いた神札への感謝の気持ちをこめ、新しい神札に取り替えることによって生命が新しく生まれ変わり、更なるご加護を願うという、 古来日本に伝わる産霊の信仰によるものです。

尚、神社によっては年末に新しい神札をお届けする「大麻頒布」を行っていますので、氏神さまの神社に尋ねてみると良いでしょう。 ※氏神さま・氏神神社とは、お住まいの地域に鎮守している神さま(神社)の事です。

神棚をおまいりする作法

  1. 神前に軽く一礼してから、左足より一歩進みます。
  2. 深々と90度に身体を折り、頭を下げ、これを2回繰り返します。(二拝)
  3. 両手を胸の高さで合わせ、右手を少し引いて2度拍手を打ちます。(二拍手) 再び両手を合わせて祈念をこめます。
  4. 手を下ろして、再び深々と1回頭を下げます。(一拝)
  5. 右足より1歩下がり、最後に軽く一礼してから下がります。

神棚をおまいりする作法は、神社におまいりする時と同じです。古くは様々な参拝作法がありましたが、現在では二拝二拍手一拝が一般的となっています。

現在、世界中の様々な拝礼作法の中で、拍手(はくしゅ)を打つのは日本だけと言われています。古くは、貴人に対しても手を打つ習慣があり(魏志倭人伝)、それが神拝にのみ用いられるようになったとも言われています。

万国共通の表現として 拍手は、賞賛や喜びを示すものですが、この拍手を儀礼にまで高めたのが、拝礼における「拍手(かしわで)」であるとも言えましょう。
毎朝、手を洗い、口をすすいで心身ともに清め、お供物をして家庭や職場の安全と、一日の無事をお祈りしましょう。
おまいりの作法は以上の通りですが、この時に祓詞・神棚拝詞などを奏上すると、さらに良いでしょう。